初めてドライブらしいドライブをしたのは18歳の頃でした。
免許を取得してからまだ半年しか経っていない彼の隣に座り、
ただ窓の外を眺めるだけのもの。
それでも付き合いたての私達にとって、
かけがえのない思い出の1ページです。
当時、大学受験に失敗した私は
ひどく落ち込んでいました。
気を抜くとすぐ涙をぼろぼろと流していたので
周りの人はすごく対応に困ったと思います。
そんな折、彼が「ドライブに行こう」
と誘ってくれたのでした。
車を運転するのは大人だけだと思っていたので、
彼氏とはいえ同い年の人の車に乗るのはとても不安でした。
もしも事故が起きてしまったら…
そんな事ばかり考えてしまい、
なかなか返事が出来ません。
それでも、彼なりに私を励ましてくれようとしているのだからと、
意を決してOKを出しました。
そしていよいよドライブの日。
慣れないシートの香りや助手席の景色にそわそわしっぱなしで、
そんな私を見て彼は可笑しそうに笑っていました。
なんだか気恥ずかしくなって、
そこからはあまり覚えてません。
彼が懸命に建物や町並みを
説明をしてくれてたような気がしますが、
申し訳ないことに右から左へと流れていってしまいます。
最後に夜景を見せてくれましたが、
時間が時間なだけあって、
ついに私は眠りの世界へと誘われました。
「家まで送るから寝てていいよ」
という言葉を素直に受け取ってしまったのです。
後に「彼が運転している横で眠る」というのは、
最大の御法度だということを知る事になる訳ですが…。